ゆれる/西川 美和 ¥1,260 

昨年11月に読んだ本、第2弾です。

映画「ゆれる」(オダギリジョーさん、香川照之さん主演)の原作本です。

監督の西川さんが映画のために書いたオリジナル小説なのですが

西川さん、小説を書くのはこれが初めてだとか。


西川さんは1974年生まれの映画監督。

同世代ということもあって、今一番気になる映画監督です。

残念ながら、映画を見ることは叶いませんでしたが

その才能、そしてその美貌・・・同性ながらも惚れ惚れする女性です。


物語は、

東京で活躍するカメラマンの弟(オダギリ)と、

田舎で家業を継いだ兄(香川)という対照的な兄弟の、まさに「ゆれる」物語。

ぐいぐいと読み手を物語に引き込み、

読み手の心までもゆらす、ものすごい力をもった小説で

続けて2度、読みました。

2度読んでも面白く、謎は謎のまま。

他の本だったら、釈然としないまま終わると後味が悪いはずなのに

この本にはそれがありませんでした。

なんというか・・・他の小説では味わうことのできない

不思議な感覚を味わうことができました。


それにしても

兄弟・・・血縁って、ものすごく強い力で引き合っているのだな・・・と

そのつながりの怖さみたいなものを感じました。

好きとか嫌いとか、

そんな単純にはいかない、ドロドロとした切っても切れない関係。

愛と憎しみは

まさに背中合わせなのだな・・・と。


2006年、イチオシの小説です。

カズオ・イシグロの「私を離さないで」と並ぶ、

ベスト1小説です。