昨年11月に読んだ本、第2弾です。
映画「ゆれる」(オダギリジョーさん、香川照之さん主演)の原作本です。
監督の西川さんが映画のために書いたオリジナル小説なのですが
西川さん、小説を書くのはこれが初めてだとか。
西川さんは1974年生まれの映画監督。
同世代ということもあって、今一番気になる映画監督です。
残念ながら、映画を見ることは叶いませんでしたが
その才能、そしてその美貌・・・同性ながらも惚れ惚れする女性です。
物語は、
東京で活躍するカメラマンの弟(オダギリ)と、
田舎で家業を継いだ兄(香川)という対照的な兄弟の、まさに「ゆれる」物語。
ぐいぐいと読み手を物語に引き込み、
読み手の心までもゆらす、ものすごい力をもった小説で
続けて2度、読みました。
2度読んでも面白く、謎は謎のまま。
他の本だったら、釈然としないまま終わると後味が悪いはずなのに
この本にはそれがありませんでした。
なんというか・・・他の小説では味わうことのできない
不思議な感覚を味わうことができました。
それにしても
兄弟・・・血縁って、ものすごく強い力で引き合っているのだな・・・と
そのつながりの怖さみたいなものを感じました。
好きとか嫌いとか、
そんな単純にはいかない、ドロドロとした切っても切れない関係。
愛と憎しみは
まさに背中合わせなのだな・・・と。
2006年、イチオシの小説です。
カズオ・イシグロの「私を離さないで」と並ぶ、
ベスト1小説です。